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 プロポリスの起源

 プロポリスは日本名で蜂ヤニ、英名でBee glueと呼ばれており、プロポリスという名前は、旧ソ連のコーカサス種のミツバチの性質に由来しています。この蜂は樹木や草花より樹液を集め、自らが分泌する脂肪や有機酸と混合したヤニ状の物質を作り、これを用いて巣の前に柱を形成し、外敵の侵入を防ぎます。そのため、これをPRO(前衛=ラテン語)とPOLIS(都市=ギリシャ語)と呼ぶようになりました。
 ミツバチの生産物としては古くから知られており、紀元前300年頃、古代エジプトではミイラの防腐剤に利用していたと言われています。また、民間医薬品としての歴史も古く、12〜15世紀には既に東欧において傷、火傷、腫れ物の薬として使用していた記録があり、今世紀の初めに起こったボーアの戦争においては傷の治療薬として使われ、壊死を防いだとの記述があります。


プロポリスの用途

 プロポリスはその抗菌力の強さから主に傷の消毒や保護などの医薬に使用されてきましたが、そのほかにもバイオリンの名器といわれるストラディバリウスが、ポルトガルのクレモナ地方で採れたプロポリスを上塗りのニスとして利用したものと伝えられています。現代においては、博物館等で亀甲類の化石などの保存用表面剤として広く利用されています。
 また最近になっては制ガン作用がとりただされるようになり、その成分や効能に対する研究が様々な分野から進められています。プロポリスにはこれ以外にも麻酔作用、免疫作用などの多くの生理作用についての報告がなされています。


プロポリスの生産地と生産方法

 プロポリスは松ヤニなどの植物の分泌する樹脂状物質を採取してくるものなので世界各国で採取されています。また、植物の種類によってもプロポリスは異なるものになってしまいます。代表的な植物は松、ポプラ、ユーカリ、パラナなどで、採取国としてはブラジル、中国、ウルグアイ、ハンガリーなどです。生産方法としては、ミツバチの巣箱の入り口を広げ、プロポリスによって入り口をふさいだところを採取したり、巣箱の中に金網を入れておき、ミツバチがプロポリスによって金網をコーティングしたものを採取したりします。


プロポリスの成分

 プロポリスの一般成分はおおむね次の表の通りです。

プロポリスの成分
エタノール可溶成分
(60%)
樹脂,バルサム油等  30〜33%
ビーズワックス    15〜21%
揮発油,精油       5〜6%
ミネラル,各種有機物    3%
エタノール不溶成分
(40%)
花粉,繊維等

 プロポリスの主成分は油性であるため通常は水に溶けません。そのためプロポリスを食品として利用するには、エタノールなどで抽出してからです。
 エタノールによって抽出されたエキスの成分は、表におけるプロポリスの成分からも推察される通り、樹脂由来のコロホニウム、芳香油由来のバルサム、ビーズワックス由来のセロチン酸、パルミチン酸ミリシルなどが含まれていると考えられますが、近年プロポリスの抗菌性成分として、特に注目されているのがフラボノイドを始めとする各種有機物です。
 植物中のフラボノイドの多くは配糖体の形で含まれていますが、プロポリスに含まれるフラボノイドは、糖鎖を持たないアグリコンであることが特徴です。これは、ミツバチが植物からフラボノイドを採取した後、消化管内で酵素的に加水分解を行うためと考えられています。

 
プロポリス中の有機成分
フラボノイド フラボン アピゲニン,クリシン,アカセチン
フラボノール ケムフェロール,ケルセチン,
クェルシトリン
フラバノン イソサクラネチン,ピノストロビン
フェノール酸類 カフェ酸,桂皮酸,p-クマル酸
クマリン類 スコポレチン,エスケクレチン
芳香性アルデヒド類 バニリン,イソバニリン

 表のフラボノイドや有機酸など以外にも、多種のフラボノイド、テルペン化合物、芳香族脂肪酸、フェノール酸類が含有されています。次にプロポリスに含まれる代表的なフラボノイドの化学構造式を示します。


プロポリスの効用

 一般に知られているプロポリスの生理作用としては、次のようなものがあります。

    ・抗菌作用
    ・抗炎症作用
    ・酸化防止作用
    ・局所麻酔作用
    ・組織再生作用
    ・抗ウイルス作用
    ・植物発芽抑制作用
    ・抗ガン作用

 ・抗菌作用

 抗菌作用は多種あるプロポリスの生理作用のうち、とくに古くから知られている作用です。Kivalkina(1948)以来、今日まで多くの研究者によってさまざまな菌による抗菌性が研究されてきました。プロポリスの主な抗菌性物質と病原菌に対する感受性および抗菌性物質の化学構造式を以下に示します。

 

被験物質 最小増殖阻止濃度(μg/ml)
枯草菌
 
(細菌:
グラム陽
性桿菌)
黄色ブド
ウ球菌
(細菌:
グラム陽
性球菌)
鷲口瘡カ
ンジダ
(真菌:
不完全
菌)
毛瘡白鮮

(真菌:
皮膚糸状
菌)

エタノール抽出全成分

375 1,500 3,000 188

ガランギン

150 300 300 75

ピノセンブリン

75 300 150 38

ピノパンクシン

300 300 300 75

3-アセチル-ピノパンクシン

300 300 300 75

桂皮酸

400 800 300  

p-クマル酸ベンジルエステル

150 300 300 38

カフェ酸

600 600 1,200  

カフェ酸エステル混合物

150 300 300 19

 ・抗炎症作用

 東ヨーロッパでは消炎剤として、咽喉炎、気管支炎、歯髄炎、口内炎、骨関節炎、胃炎、各種大腸炎などの民間治療に使用されており、切り傷、しもやけなどの皮膚疾患にも効果があるといわれています。

 ・酸化防止作用

 プロポリスの抗酸化作用は学術的にも証明がなされており、現在、食品衛生法で抗酸化剤として、すでに認可されています。

 ・局所麻酔作用

 ウサギを使用した動物実験では、コカインの3倍、プロカインの52倍の麻酔作用を示しました。

 ・抗腫瘍作用

 プロポリスの抗腫瘍作用についての学術的な研究を初めて行ったのは国立予防衛生研究所の松野博士です。松野は1990年にプロポリスのエタノール抽出物が悪性腫瘍の試験管培養細胞の増殖を阻止する事を見いだしました。また、酢酸エチルとエタノールの抽出物から3つの抗腫瘍作用をもつ物質を発見しました。また、その後プロポリスの摂取でいくつかの悪性腫瘍の治癒を報告しています。その後、1995年林原生物研究所は同様に抗腫瘍作用をもつ物質アルテピリンCを発表しています。


プロポリスの安全性

 プロポリスが持つ様々な効用が認められつつある一方で、これらの生理活性が及ぼす影響についても多くの人々が関心を寄せるところです。
 現在、懸念されているのは飲用した場合の急性毒性と副作用についてですが、いずれもプロポリスによる影響は報告されていません。
 急性毒性試験はマウスやラットを使用して、2320〜4000mg/kgの経口投与試験が行われ、一時的な活力低下や軟便などが観察されたものの、ほぼ24時間で正常となり、死亡例は見られていません。したがって、LD50値は4000mg/kg以上と考えられます。
 また、人に対する副作用では、経口摂取した場合に個人差によっては弱い発赤、軟便などが見られることもありますが、ほとんどが一過性のものであり、その後の身体内部の調整作用がより有効に発現すること(好転反応)が期待できると言われています。

 

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